少子化に対応する母校

私は、高校、大学、社会人と同じ電車を使用している。20年以上同じ電車に乗っていて、ふと気付くことは、以前に比べてラッシュの度合が軽減されたことである。車輛の編成が増えたこともあるが、よくよく考えてみると、高校生の姿が明らかに減っているようである。

私の出身高校は、いわゆる典型的な都立高のすべり止めの私立の男子高だった。私も含めてクラスの8割の生徒が都立高を落ち、他に行くところがなく、イヤイヤ入学してきた者が殆どで、高校入試に失敗した挫折感と、反面、変なプライドがあるやや屈折した生徒が多いアンニュイな高校だった。1学年400名ほどの学校で、定員面では当時はごくごく普通の規模であった。ところが、今は定員は200名ほどで、半分は私たちの時代には閉鎖されていた併設中学校からの持ち上がりで、高校からの入学者は第一志望の生徒が中心のようである。入学の難易度は当時と大差はないらしいが、私たちの時代では決して考えられない、現役での東大合格者も輩出している。また、私たちの時代では、クラブ活動は決して盛んな高校ではなかったが、最近は様々なジャンルの高校スポーツで全国規模で頭角を現しているようである。

少子化の中で私学が生き残るのは大変なことであろう。そんな中で、あんなに無個性な高校を変身させた高輪高校関係者に敬意を表したい。

('99/05/15)