ガーデニング

ガーデニング・ブームは、一時の盛り上がりほどではないものの、小奇麗に寄せ植えされた花々を見る頻度は高まってきた。園芸というと、なんとなく定年を過ぎたお父さんの趣味の領域という響きがするものの、ガーデニングというと、何やら若い響きがするから不思議なものである。英国の本来的なガーデニングと日本のそれは、本質的にちょっと違うような気がするのは、やはり日本の住宅事情が大きく起因しているだろう。今まで地味な存在だった園芸評論家が、俄に脚光を浴びているという現象もほほえましい。

私は、東京は下町に住んでいるが、辺りは長屋などあり、良くも悪くも下町の趣が特に色濃く残っている地域である。向島百花園も近いロケーションである。この地域は、狭い軒先で園芸というよりもむしろ盆栽の世界が展開されており、季節によって移ろう花々の色香を楽しむことが出来る。こういう世界にガーデニングという横文字の園芸は不要である。生活様式が洋式化する中で、こうした下町のジャパニーズ・ガーデニングは、本来の日本の良さを再認識させてくれる。決してイギリス生まれのガーデニングを否定しているのではない。ジャパニーズ・ガーデニングも見直してね、ということである。

('98/11/22)